「書く・聞く」キャリア

広報に挑戦したいライター必見!経営者に信頼されるプロの視点とは

佐伯有加里

「ライターから広報にステップアップするには、どんなスキルを身に付けたらいいの?」

広報の仕事に挑戦したいけれど、どのようなスキルが求められるのか、経営者の信頼を得るにはどうすればいいのか不安に思っている方も多いはず。

今回は、企業のPR支援を行う株式会社令和PR代表・小澤美佳さんと、広報の仕事を主軸に活動している株式会社FLOW代表・多葉田愛さん(以下、あいさん)による対談をお届けします。

最前線で活躍されているおふたりに、広報のプロとして必要なスキルや視点について語っていただきました。これから広報の仕事に挑戦したい方や、広報の仕事を始めたばかりの方はぜひ参考にしてみてください。

小澤 美佳/株式会社令和PR 代表取締役

2008年に株式会社リクルートに入社。中途・新卒採用領域での営業やマネージャーを歴任し、リクナビ副編集長として全国の大学でキャリア・就職支援の講演を多数実施。2019年にITベンチャーへ転職し、2023年に兼業で株式会社令和PRを設立。「経営をPRで加速させる」というビジョンのもと、多岐にわたる業界のPR支援を展開。愛知県出身。2児の母。

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多葉田愛(あい)/株式会社FLOW代表取締役

新卒で株式会社UDSに入社。その後、ワーキングホリデーを利用し、オーストラリアを拠点にフリーランス生活を送る。帰国後、株式会社TABIPPOに入社し、セールス・マーケティングを担当。 2023年に独立し、株式会社FLOWを設立。伴走型の広報支援と、書く+αのスキルが身につく「Marble」のスクール事業を展開。

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誰もが自由に発信できる時代。企業PRの正解とは?

あい: 

まずは小澤さんが代表取締役を務める、株式会社令和PRについて教えてください。

小澤さん:

令和PRは、企業のPR支援を行っている会社です。企業のPRコンサルティング業務を担っているメンバーのほか、ライティングやアイキャッチ、動画、ポッドキャストの編集などクリエイティブ担当を合わせて、14人ほどが関わってくれています。ほとんどがフリーランスのため、各自が目的に合わせて主体的に動く組織を目指しています。

また、広報自体への興味関心を高めていけるように発信活動にも力を入れています。広報に関する最新情報やノウハウ、また自社のPRなどを発信しているXは、フォロワーが4.5万人(2025年9月時点)です。さらにポッドキャストも活用していて、平日に毎日配信している「令和の広報ラジオ」と、週1回更新の「広報のある日常」を運営しています。

あい: 

チームメンバーはフリーランスの方が多いんですね。令和PRとして大切にしている価値観は何ですか?

小澤さん:

弊社のビジョンに「経営をPRで加速させる」とあるように、PRを通じてその会社の事業や組織を成長させることを一番の目標にしています。そのため、PRはあくまで“会社の価値を上げる手段のひとつ”と考えていて。

オウンドメディアやSNSの普及により、誰もが気軽に発信できる時代となり、PRは大きな転換期を迎えています。従来はマスメディアへの掲載が主流でしたが、いまは企業自身が自由に情報を届けられるため、PRの可能性はますます広がっています。

信頼を勝ち取る2つの視点で広報として“選ばれる人”に

あい:

広報は経営に関わる部分が多いため、企業の代表とのコミュニケーションは欠かせませんよね。そこで経営者の信頼を得るために、小澤さんが意識されていることを教えてください。

小澤さん:

1つめは、「この人はプロだ」と信頼していただくことです。企業の情報発信をするにしても、マーケティングの場合は、どうすればターゲット層に響くのか、採用広報であれば就職・転職活動をしている人に向けたアピールポイントなど、プロの視点で提案をしています。

たとえば商品は売れているのにリピーターが定着していない場合は、「新規のお客様を増やすのではなく、既存顧客へのアプローチを手厚くすることが重要かも」と現状に合わせたPR施策を打ち出します。

事業構造を分解して課題を洗い出して、経営者と同じ視点に立って対等に会話できることが、プロだと思っていて。クライアント自身も気付いていなかった課題や改善点をあぶり出すことで、広報担当として信頼の獲得につながると考えています。

2つめは、クライアントの未来を共に考える姿勢です。私は初めてクライアントとお会いする際には、事前に時間をかけて分析し、「会社の将来を見据えた課題」を整理して社長にお伝えしています。

単なる外部支援者ではなく、経営に伴走するパートナーとして向き合うことで、「本気で考えてくれている」と感じていただけます。

あい:

自分からお願いしなくてもここまで有益な提案をしてくれたら「この人にまかせたい」と思いますよね。数値的なインパクトや中長期での成長マイルストーンが描けると、広報PRの効果と経営の連動性を理解してもらえるのかも。

小澤さん:

そうなんです。とにかく経営者の方の頭のなかをのぞくようなイメージで、相手が何を望んでいるかを想像し、言語化する。

会社全体のことを見ている経営者に「プレスリリースが1000PVを超えました」と伝えてもあまり響きません。経営者が気にしてることに対してPRで貢献できることを伝えて、ニーズに沿った提案をするように心がけていますね。PR施策をすることで「どのようなインパクトを与えられるか」や、「会社がどう良くなるか」を伝えることが重要です。

あい: 

広報やPRは、経営者の「代弁者」になる場面も多いので、信頼して任せてもらえるような関係構築が必要だと、改めて感じました。

一方で、広報やPRの本質的な価値や役割が、経営者の方に十分に伝わっていないケースもあると思います。そうした場面では、どのようなアプローチをされていますか?

小澤さん:

たしかにPRは短期的な売上に直結しにくいため、「本当に効果があるのか」と言われてしまうこともありますね。そこで私は、短期・中期・長期の時間軸に分けて提案するようにしています。

まず確認するのが、“5年後、10年後にどのような会社でありたいか”。その理想の姿を実現するには、継続的にPR施策を行って会社のブランディングが必要だとご理解いただきます。長期目線でやっていかないと、なかなか積み上がらないんですよね。

そして、理想の未来に向けて短期・中期・長期の目標を一緒に設定し、やるべきことを明確化することで、クライアントと並走しながら前向きに取り組めるよう支援しています。

過去の経験が武器になる!スキルの掛け合わせ戦略

あい:

小澤さんが情報発信をする際に意識しているポイントを教えてください。

小澤さん:

読者や視聴者にどう見られたいかを考え、“発信する情報の軸”を明確にしています。私の場合は“HR × PR”をセルフブランディングの軸にしているので、HR関連のレポートを読み解いたり、最新ニュースを広報視点で切り取ったりしていますね。

あい:

なるほど!“掛け合わせ”によるブランディングは本当に大切ですよね。これからSNSを営業ツールとして活用したい場合、発信の軸を見つけるには何から始めればいいでしょうか。

小澤さん:

まずこれまでのご自身の経験を棚卸しをして、広報と掛け合わせられる自分の強みを探してみてください。たとえば人と接する接客業の仕事柄から、相手のちょっとした表情や態度の変化に気付くのが得意な人も多いと思います。こうした感情を読み取るスキルは、広報の仕事をするうえで大きな武器になります。

ただ、自分の強みを見つける作業のなかで、「こんなことが本当にPR材料になるのかな」と心配になることもあるでしょう。私も最初のうちは、採用領域で働いてきたことを強みにしていいのかと不安でした。

けれどあるとき、「自分が何気なくできることが、他の人にとっては当たり前ではない」と気付いたんですよ。実はそこまでがんばらなくてもできてしまうことこそ、その人の一番の武器になります。どんな小さなことでもいいので、自分だけの強みを探してみてください。

あい:

もし広報の仕事に活かせそうな実績やスキルが見つからない場合はどうすればいいでしょうか?

小澤さん:

最初から完璧な強みじゃなくてもいいと思うんです。実際に一から勉強を始め、数ヶ月後には多くの企業から声がかかる“売れっ子広報”になった仲間をたくさん見てきました。

「私には何のスキルも無いから無理だ」と諦めるのではなく、目指すべき姿に自分を近づけてみてほしいです。

あい:

これから自分のキャリアを作っていこうと勉強している人にとって、「今の延長線に価値がある」という視点はとても励みになると思います。情報発信の手段もいろいろありますが、Xと音声メディアの使い分けで意識している点を教えてください。

小澤さん:

広報の仕事で必要なスキルやノウハウなど、深い話をするときは音声配信。会社の宣伝や日々の気付き、豆知識など、広く情報を伝えたいときはXを使うようにしています。

Voicyやポッドキャストなどの音声配信は、情報は深いけれど、拡散性は低い。一方でXは、情報は浅いけれど、拡散性が高いからです。

広報への挑戦に“文章が書ける”は大きなアドバンテージ

あい:

最後にこれから広報の仕事に挑戦したいと思っている方々にメッセージをお願いします。

小澤さん:

「モノが書ける」要素は、広報において重要なスキルです。そのためライターのみなさんは、すでに大きなアドバンテージを持っていると思っていて。そこからさらに営業スキルを身に付け、「モノが書ける営業」になれれば、もうそれが私が思う“理想の広報”です。

広報でいう営業スキルとは、企業側のニーズを読み取り、相手の興味を引くアプローチをすることです。たとえば商品を掲載してほしいメディアに営業するときに、ただ「新商品が出たので取り上げてください」と伝えるだけではまったく相手にされません。

たとえば過去の記事を見て、「過去記事の〇〇が素晴らしかったです。そこで、私たちの商品がメディアのコンセプトに合うと思います」と具体的にお伝えすると、詳しく話を聞いてみようかとなるわけです。

ぜひ文章スキルと相手のニーズを読み取り、巻き込んでいく営業の力でキャリアを広げてみてください。

***

今回の対談では、いまの時代に現場で求められる広報スキルについて、広報・PR会社の代表として活躍されているおふたりにお話しいただきました。

小澤さんが話されていたように、文章が書けるライターは広報人材として大きなアドバンテージとなります。未経験の分野に挑戦するのは不安も大きいと思いますが、ライターとしてキャリアを広げるために一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

フリーランス広報の方々とお仕事をされている小澤さんに語っていただいた内容は、すぐにでも取り入れたい情報ばかりでした。これから広報に挑戦したいと思っている方は、ぜひ実践してみてください。

〈執筆=ろぼ(@robowebwriter)/ 編集=ゆかりーぬ(@merryyyyyysan)〉

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