“好き”が活きる!売れっ子エンタメライターが語る取材の極意
サンリオやアイドル、お笑いなど、幅広い“エンタメ”領域で活躍するインタビューライターの於ありさ(以下:おきあり)さん。リピート依頼の多いおきありさんは、取材対象者から「指名」を受けることも少なくありません。
「自分もそんなライターになりたいけれど、どうすればいいのだろう?」
「取材・執筆でどのような工夫があるのだろう?」
そんな疑問に答えるべく、いしかわゆき(以下:ゆぴ)さんが、おきありさんの取材術に迫りました。信頼を獲得し続ける理由や、現場で実践できる工夫が語られた対談イベントの様子をお届けします。
於ありさ(おきあり)/ライター・インタビュアー
生命保険会社での営業職を退職後、編集プロダクションにて紙媒体の編集・ライター業務を経て、2018年2月に独立。エンタメジャンルのインタビュー・コラム記事の執筆を中心に、書籍の執筆・編集、メディア出演など幅広く活躍。企画から執筆まで担当した『マイメロディ&クロミ ファンブック いつだってなかよし』発売中。
いしかわゆき(ゆぴ)/作家・ライター
Webメディア『新R25』編集部を経て2019年に独立。取材記事やコラムの執筆、広報コンテンツ制作、Webメディアでの編集など幅広く活躍。『Marbleスクール』ではインタビュー講座の講師を務める。著書に『書く習慣』『聞く習慣』『ADHD会社員、フリーランスになる。』『がんばれない私のゆる時間術』など。
夢は「タモリさん」だった?エンタメライターになった経緯

ゆぴ(敬称略):
まず、おきありさんがエンタメライターになった経緯を教えてください。
おきあり:
実は最初からエンタメライターを目指していたわけではなくて…。もともと私の夢は、「タモリさんになること」だったんです。
ゆぴ:
タモリさん!?︎どういうことですか?
おきあり:
テレビ番組『笑っていいとも!』が大好きで。日替わりでゲストを迎えて話を聞くタモリさんに憧れていました。それで、“喋る仕事=営業”だと思い、生命保険会社の営業職に就きました。
会社で働くかたわら、おすすめのテレビ番組やサッカー代表戦の見どころを書いた手書きの新聞を毎日配っていました。完全に趣味で(笑)。それを機に、「書くことも楽しいな」と感じはじめ、入ったのが社内報などの広報ツール全般を作成する編集プロダクション(以下:編プロ)です。
ゆぴ:
最初の「書く」キャリアは編プロから始まったんですね。
おきあり:
そうなんです。編プロでは、アシスタント的なポジションから、だんだんと企画にも携われるようになったのですが、いよいよ取材をさせてもらえる…!というタイミングでメンタルを壊し、やむなく退職することになってしまいました。
そこで、自力でライターに挑戦することにしました。まだ取材経験もないのに(笑)。
ゆぴ:
思い切りましたね。実績がない状況で、どうやって最初の仕事を受注したのですか?
おきあり:
メディアに自分を売り込んで書かせてもらいました。
当時は、サンリオキャラクターと「歌舞伎」がコラボレーションしたショーが始まるタイミング。「私はエンタメが好きでサンリオにも詳しいので、ライブレポートの執筆に適任だと思います!」と、2.5次元(*1)系の舞台のライブレポートを載せている媒体に連絡したんです。
初めてクライアントにお会いしたときにも、「こういうジャンルも書けます!」と伝えることで、ほかのインタビューの仕事にもつなげてもらえました。営業での経験が活きましたね。

(*1:漫画・アニメ・ゲームを原作とする3次元の舞台コンテンツの総称|参考:「一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会」)
取材では会話を大事に。その人の言葉を引き出す

ゆぴ:
インタビューで意識してることはなんですか?
おきあり:
意識していることは3つあります。1つ目は、その場の会話を大事にして、会話を楽しむことです。
今はメールインタビューや、先方が用意してきた回答を読むだけというパターンもあります。だからこそ、「それはどういうこと?」と一つひとつ丁寧に詰めて、テンプレートではないその人の言葉を引き出すことを意識しています。
ゆぴ:
その場の会話を大事にした結果、取材テーマから外れることはありませんか?
おきあり:
そういうときは、「その話も聞きたいけど、今日は〇〇の話を聞きたい」と明確に伝え、軌道修正しますね。あくまでテーマからブレない範囲での会話を意識しています。
2つ目は、沈黙を怖がらない。取材対象者が黙ってしまったとき、「こういうことですかね?」と焦って答えを誘導せず、いったん待つようにしています。
ゆぴ:
仮に沈黙が続いたとしても、答えを無理には引き出さないんですか?
おきあり:
もし、「言葉が見つからない」という理由の沈黙なら、二択を提示したり、「はい」か「いいえ」で答えられる質問をしたりします。「同じ質問をしたときに、こう答えた方もいましたが、共感できますか?」とか。そこから「それはなんでですか?」と深掘りしていくことはありますね。
3つ目は、曖昧な言葉を放置しない。質問案はざっくりしたものにしておいて、曖昧な答えが返ってきたら具体的に聞くようにしています。
ゆぴ:
たしかに、オープンクエスチョンに対する漠然とした返答を、最終的な答えだと思わないことは大事ですよね。表面的な言葉ではなく、丁寧に質問を重ねて本質的な答えを導き出すことが、私たちインタビューライターの仕事かもしれませんね。
手書きのメモが構成のヒントに!筆が早い理由

ゆぴ:
おきありさんは筆が早いイメージがあるのですが、コツはありますか?
おきあり:
取材中のメモから構成を考えて、そのあとで文字起こしをしています。テーマから外れている話は切り捨て、使うところだけ文字起こししているんです。
ゆぴ:
どんなことをメモしているんですか?
おきあり:
引っかかったワードだけをメモするようにしています。そうすると、似たような単語が繰り返し出てきて、共通するテーマが見えてくるので、構成案を作るうえでも役立ちます。だから、個人的には手書きのメモがとても大事だと思っているんです。
その後、メモを内容ごとに色分けしてから、トピックを付箋に書き出し、何度か組み替えて構成を固めていきます。
“知りすぎない”が重要?趣味の延長で情報をキャッチアップ

ゆぴ:
おきありさんのポートフォリオは、バラエティー豊かですよね。エンタメジャンルはとても幅広いですが、どうやって情報収集しているのですか?
おきあり:
興味の延長なので、SNSをフォローをしたり、雑誌を買ったりはします。でも、仕事のためにわざわざ調べることはほとんどないですね。
自分の好きなアイドルと仲がいいアイドルを見るようになり、またそのアイドルと仲良くしているアイドルを見るようになり…と、どんどんつながっていく感じですかね。
ゆぴ:
なるほど…!興味の連鎖が、自分の対応可能ジャンルを広げていくんですね。もし、全然知らない俳優さんの取材依頼が来たら、どこまでリサーチしますか?
おきあり:
以前は、取材対象者のインタビュー記事は全て読む勢いでリサーチしていましたが、あるとき、知りすぎていると深掘りしなくなってしまう自分に気づいたんです。
友達だって、その友達のすべてを知ってるわけじゃないですよね。だから、知らないことは「知らない」と伝えて、聞くようにしています。
ゆぴ:
これは私も肝に銘じたい。調べることはいいことだと思い込んでいたけど、知らなくても恥ずかしくないし、むしろ読者目線に立てるので塩梅は大切にしたいですよね。
実績がなくても諦めないで!営業は言うだけタダ

ゆぴ:
最後に、エンタメライターを目指している人に、アドバイスをお願いします。
おきあり:
実績がないという理由で諦めないでほしいです。ブログやnote、ラジオの投稿など、なんでも実績になるので、“やりたい”という気持ちを大事にして、ぜひ、チャレンジしてください!
私は手を挙げたもん勝ちだと思っているので、積極的に「できます!」と言っています。最初の仕事も自分を売り込んで獲得しましたし、営業職を経験しているので、返信が来なくても気にしません。言うだけならタダですからね!
***
おきありさんのお話には、たしかな経験に裏打ちされた具体的なヒントが盛りだくさん。リサーチの方法から取材時の工夫まで、ライターとして実務に活かせる点が多く、本当に勉強になることばかりでした。
エンタメライターを目指している方、取材ライターとしてステップアップしたい方、ぜひ参考にしてみてください!
〈執筆=コッチ (@a_w_kojima)/ 編集=ゆかりーぬ(@merryyyyyysan)〉

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