ライターの“書く力”は広報でも武器になる?経験者が語るキャリアの広げ方

佐伯有加里

「ライターとしてこのままでいいのかな」
そんな不安を抱える方は少なくありません。しかし、視野を少し広げてみると、思わぬところにキャリアの“次の一歩”が見えてきます。

今回お話を伺ったのは、ライターから広報の領域へとキャリアを広げてきた、多葉田愛さん(以下、あいさん)。

「広報はライターの“半歩先”にある」と語るあいさんは、これまでの経験を活かしながら、現在は広報の仕事をメインに活躍されています。

特別な資格や経験がなくても、今あるスキルをもとに踏み出せる。そんな広報という選択肢について、これまでの実践や気づきとともにお話しいただきました。次の一歩に迷うあなたに、きっと役立つはずです。

多葉田愛/株式会社FLOW代表取締役

青山学院大学卒業後、UDS株式会社に入社し、広報を担当する。独立を経て、TABIPPOに入社。海外政府観光局・自治体向けのセールス・マーケティングを担当する。2022年にフリーランス広報ユニット「ふたり広報」を結成し、2023年には株式会社FLOWを設立。現在は、企業の魅力を引き出し、信頼関係を築く“伴走型”の広報として活動中。

Xnote 

“書く力”がそのまま活きる!広報は“ライターの延長線上”にある

―― あいさんにとって、“広報”はどのような仕事ですか?

私にとって広報は「ライターの少し先にあるもの」という感覚です。まったく別の職種というよりは、地続きでつながっている印象があって。

たとえば、インタビュー記事を書くときは、事前に対象者のことを詳しく調べますよね。会社のホームページだけではなく、代表のSNSや過去の発信、社員のプロフィールまで細かく見ることもあります。

それが“相手に興味を持つ筋トレ”みたいなものだと思っていて。この姿勢が、そのまま広報にも活きるんです。

―― なるほど、相手のことを詳しく知ろうとする姿勢が共通してるんですね。

さらに、聞く力もとても大事です。広報の伴走でもインタビューと同じように、相手の話を深掘りして、課題や目標を言語化していきます。

もちろん書く力も欠かせません。広報のアウトプットは記事やプレスリリースに着地することが多いからです。ライティングに自信がないと、進みが遅くなったり、相手の発言のどこを拾っていいのか迷ったりしますが、ライター経験があればスムーズに実務を進められます。

だからこそ、ライターから広報の領域へ進むのは、大きなジャンプではなくて、半歩踏み出すようなものなんです。

―― 半歩先なんですね…!ライターから広報は、まったく別の世界に見えてしまう人も多いと思います。

そうですよね。私も最初は、“特別なスキルや経験がないと、広報を名乗れないんじゃないか”と思っていました。でも、実際はもっとグラデーションに近い感覚で。

記事の目的を考えることや、誰に届けてどう動いてもらうかを意識することは、広報的なアプローチだと気づきました。なので、ライターをやっている人なら、もうすでに広報に必要な視点を持っていることも多いと思います。

やってみることで自信が芽生えた。広報キャリアの始まり

―― あいさんが実際にフリーランス広報として、活動を始めるきっかけはあったのでしょうか?

新卒で入った会社で、最初に配属されたのが広報でした。当時は知識も経験もなくて、言われたことを一つずつやっていくことで精一杯。自分が担当する業務が、どんな役割を担っているのかを深く考える余裕すらなかったんです。

そのあと、一度会社を辞めてフリーランスになりました。ライターとして活動していたのですが、収入が安定せず、「このまま続けていけるのか」と不安もありました。

複合的なスキルが身についていないと、専業フリーランスでは難しいと感じて2社目に転職して。転職後は営業担当として働くなかで、視野が広がりました。会社員をしながら、副業で徐々に広報の仕事を請け負うようになり、仕事の幅を増やしたんです。

―― フリーランス広報としての活動を始めたのは、そのころだったんですね。

はい。まずはSNSのプロフィールに“フリーランス広報”と書いてみました。正直、当時は「いきなり広報を名乗って大丈夫かな…」と不安もあって。でも、想像していた以上に反応があり、少しずつお声がけいただけるようになったんです。

半年ほど伴走していると、採用の応募が増えたり、社内の発信が活発になったり、クライアントの変化が見られるようになりました。自分で戦略を立てて、実行していくうちに、「自分の考えでプロジェクトを動かしている」という実感が持てたんです。

―― 「やってみる」ことで、手応えが生まれていったんですね!

企業広報のときは、先輩のおかげで成功したプロジェクトもたくさんありましたが、フリーの広報だと、私が決めたことで結果が左右される。責任感ある状況でトライアル&エラーできたことが、すべて経験値として積み重なりました。

数をこなすうちに、リピートや契約延長してくださるクライアントさんが増えてきて。「いつでも相談したいと思える存在です」と言ってもらえるようになったので、少しずつ自信を持てるようになりました。

そこでやっと、広報としての自信を得たような気がします。当時の経験から、できるかどうかは別として、とにかく手を挙げて打席に立つことが大切だと感じましたね。

戦略から関わることで鍛えられる。広報的思考力

―― ライターが広報的な視点を養うために、意識することはありますか?

“任された地点より前の段階”から関わることを意識するといいです。上流工程に入っていくと、より戦略に近づいていくので、広報視点を養えます。

たとえば、記事の企画段階に入って「そもそも読者に何を伝え、どんな態度変容を促したいのか」から一緒に考える。それはつまり、クライアントの全体戦略や課題、伝えたいメッセージの整理にも関わることになります。

構造や背景を知ったうえで記事を書くのと、知らずに書くのとでは、出てくる文章がまったく違ってくるんですよね。

―― 広報視点は、主体的に関わることで身につくのですね。

私は一緒に仕事をするうえで「会社やサービスのことを好きになれるか」や「風通しがよくて任せてもらえる関係かどうか」をとても重視しています。実験しながらPDCAを回す感覚でなければ、あまり手応えがなくて。

クライアントから任される範囲が狭いと、どうしても受け身になりがちで、自分のなかにも広がりが生まれにくいんです。

だからこそ、自分ごとで考えていけるかどうかが深く関わってきますし、それがそのまま自分の成長にもつながると感じています。

―― とはいえ、ライターからいきなり広報の仕事を受けるのは、勇気がいると思います。広報領域に一歩踏み出すとしたら、まずどの仕事から入ってみるのがいいのでしょう?

おすすめはプレスリリースです。

すでに鍛えられている“書く力”が発揮できるからチャレンジしやすいはず。ただ、一般的な記事とは違って、プレスリリースには広報的な考え方がギュッと詰まっているので、トレーニングにもなるんです。

情報を届ける先が“toC”から“toメディア”に変わるため、メディアに刺さる企画や切り口を考える必要があります。先ほどもお伝えしたように、ただプレスリリースを書くのではなく、ここでも“手前から関わる”を意識できると、広報的思考の土台がつくられると思います。

不安を抱えるライターに伝えたい。“もう一本の柱”を持つという考え方

―― ライターとして「このまま書き続けるだけでいいのか」と不安を感じる方も多いと思います。そんなとき、どんな考え方をするといいのでしょうか?

私の場合は、「支柱をいくつか持っておく」という考え方を大切にしています。

一本の柱だけでは揺らぎやすいけれど、何本かあればバランスが取れて安定しやすいですよね。ライターという柱を持ちつつ、広報という柱が加わると、視野も働き方も広がっていきます。

広報を支柱のひとつにすることでキャリアの土台が強固になります。急いで大きな柱を建設する必要はなくて、少しずつ経験を積み上げて高くしていけば問題ありません。

―― たしかに、少しずつなら取り組みやすいし、土台が強固になりそうですね。

そうですね。広報の仕事は、編集やクオリティチェックがメインになることも多いんです。ライターからのキャリアの方向性に悩む方にも、まずは広報にチャレンジしてみてほしいですね。

SNSが好きなら、そちらを軸にした広報に向いてるかもしれないし、獲得したいスキルが明確なら、そのスキルをもとに広報の戦略を組み立てていける。

向いているかどうかは、実際にやってみないとわからない。逆に、やってみて合わなければ、“選択肢から外す判断”ができますよね。そういう意味でも、まずはなんでもやってみることが大事です。

興味があるなら、まずやってみることで、進みたい方向性の輪郭もはっきりしてくると思います。Xnoteでも、広報をテーマにした発信をしているので、何か気になることがあれば、いつでも相談してもらえたらうれしいです。

***

「広報って難しそう」と感じている方にこそ、あいさんの言葉はヒントになるはず。

ライターとして培った“書く力”は、広報というフィールドでも強みになります。キャリアの広げ方に迷ったときこそ、半歩先の選択肢に目を向けてみませんか?

「広報にも挑戦してみたい」と思った方は、あいさんが講師を務める「書く」+αのスキルを学ぶスクール『Marble』へ。書く力を活かした新しい一歩が、きっと見つかるはずです。

〈取材・文=ゆかりーぬ/編集=b-write編集部〉

「広報はライターの“半歩先”にある」と語るあいさんから、“書く力を活かす広報スキル”が学べる『Marbleスクール』が開講。

企業の魅力を引き出し、信頼関係を築く“伴走型”の広報として活躍されているあいさんから、広報的視点の育て方や、仕事の広げ方について実践的に学べます。

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